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PAST EXHIBITIONS

MADNESS IS PART OF LIFE

SEPTEMBER 29TH 2012 - JANUARY 6TH 2013

Copyright © Hideki Inaba, 2012

エスパス ルイ・ヴィトン東京は、新たなエキシビションフォーマットであるMentoring young Artists(若手アーティストのメンタリング)に、全世界で高く評価されているブラジル人アーティスト、エルネスト・ネト(Ernesto Neto)と、その弟子であるビデオアーティスト、エヴァンドロ・マシャード(Evandro Machado)を迎えます。

エスパス ルイ・ヴィトン東京の第5回エキシビション『Madness is part of Life(狂気は生の一部)』ではエルネスト・ネト自身がキュレーターを務め、4点の新作を通じ、高い天井とガラス張りの壁面を併せ持つこの空間を再構成・再解釈します。

くつろぎに満ちた環境の中で来場者を空中に持ち上げ、東京の景観と建築を(再)発見させる、連作『Balanço(ブランコ)』に属する巨大な彫刻作品『A vida é um corpo do qual fazemos parte(われわれは生という体の一部)』を中心に、さらに他3点を通じて、ネトにとって大切なテーマ群をめぐるこれまでの探求や連作をさらに掘り下げます。

これらの作品はいずれも、人間性を問題として取り上げます。エリオ・オイチシカ(Hélio Oiticica)やリジア・クラーク(Lygia Clark)といったポスト新具体主義アーティストから継承した、モノの重みを通じての現実認識として想定された人間性は、「身体を通じての関係性の構築」とも呼ばれます。ネトにとってパーツを組み合わせることは、頭の体操であるだけでなく、身体的操作でもあります。来場者に味わっていただきたいのはこの身体的次元であり、また、空間と生に対する特有の思案と理解方法です。

『Linhas, pontos e patas(線、点と脚)』は壁面に線を描く一方、1980年代の作品『Prumo(下げ振り)』と『Peso(おもり)』を想起させる『TorusMacroCopula(トルスマクロボールト)』は天井を指し示し、同じ伸縮性ある素材を用いた複数のボールの集合体『Pedras(石群)』は、見て、座り、触れ、歩き、考えることを来場者に促します。

それぞれが空間を占有および/または画定する異なる方法を探るこれら4点の作品に沿って、エヴァンドロ・マシャードは、リオデジャネイロの都市風景を舞台にした既存のセミフィクション作品『Ferrolho』のバリエーションを上映します。

エスパス ルイ・ヴィトン東京は、本展の準備期間中に惜しみないご支援をいただいたエルネスト・ネトおよび彼のスタジオAtelienave(リオデジャネイロ)、小山登美夫ギャラリー(東京)、駐日ブラジル大使館に心より感謝いたします。

ARTISTS

© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

エルネスト・ネト(Ernesto Neto)

1964年生まれ。故郷のリオデジャネイロに在住し活動中。同じくリオのパルケ・ラージ視覚芸術学校(Escola de Artes Visuais Parque Lage)、さらにリオデジャネイロ近代美術館(Museu de Arte Moderna)で学業を修めた後、当初はリオで個展を開催。1988年にPetit Galerieで初の個展を開いて以後、毎年、個展を開いてきた。1992年はサンパウロ近代美術館(Museu de Arte Moderna de São Paulo)、1994年はサンパウロのGaleria Camargo Vilaça。1996年にシカゴのZolla-Lieberman Galleryで開いた個展をきっかけに、ネトの作品はベネズエラから米国まで諸外国で大々的に展示されるようになった。2001年には、ブラジルを代表して第49回ヴェネツィア・ビエンナーレのメイン会場「人類の台地」(Plateau of Humankind)とブラジル・パビリオンに出展した。
近年の展示会(10年弱の期間に50回余り)の主なものとしては、メキシコ・モンテレーの現代美術館(Museu de Arte Contemporaneo)での『La Lengua de Ernesto: Retrospectiva 1987 – 2011』(回顧展)(2011~2012年)、ブエノスアイレスのFaena Arts Centerでの『Hiper Cultura Loucura en el Vertigo del Mundo』(2011年)、ロンドンのHayward Galleryでの『The Edges of the World』(2010年)、サンパウロ近代美術館(Museu de Arte Moderna de São Paulo)での『Dengo』等々が挙げられる。ネト最大級のインスタレーション『Anthropodino』は2009年にニューヨークのPark Avenue Armoryで実現された。
ネトの作品は今現在、金沢21世紀美術館(日本)、アストルップ・フェーンリー近代美術館(Astrup Fearnley Museum of Modern Art)(ノルウェー・オスロ)、マラガ現代美術館(CAC (Centro de Arte Contemporáneo) Malága)(スペイン・マラガ)、カーネギー美術館(Carnegie Museum of Art)(米国ピッツバーグ)、ポンピドゥー・センター-国立近代美術館(Centre Pompidou - Musée National d´Art Moderne)(フランス・パリ)、イニョチン現代アート・センター(Inhotim Centro de Arte Contemporânea)(ブラジル・ミナスジェライス州)、Fundació La Caixa(スペイン・バルセロナ)、Fundación Televisa(メキシコ)、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)(米国ニューヨーク)他多数の世界の一流公開コレクションに収蔵されている。

Guest Artist

エヴァンドロ・マシャード(Evandro Machado)

1973年ブラジル・ブルメナウ生まれ。リオデジャネイロに在住し活動中。16歳のときに新聞漫画家として活動を開始。ロンドンで開かれたProgram Dynamic Encounters のために2006年に初めて渡欧した後、リオデジャネイロに拠点を移し、パルケ・ラージ視覚芸術学校(Escola de Artes Visuais Parque Lage)に学び、チャールズ・ワトソン(Charles Watson)、フェルナンド・コクシアラーレ(Fernando Cocchiarale)、シコ・クーニャ(Chico Cunha)、フランツ・マナータ(Franz Manata)、ルイス・エルネスト(Luiz Ernesto)、マルシオ・ボトネル(Márcio Botner)、グロリア・フェヘイラ(Grória Ferreira)に師事。
リオデジャネイロでの最初の展示会は2008年。『Parque Lage』(リオ、Galeria Ana Maria Niemayer)、『NAU』(リオ、Instituto de Arquitetura do Brasil)、『Abre-Alas 5』(リオ、A Gentil Carioca)に出展した。2009年には、『Paisagens Improváveis(リオグランデ・ド・スル州、Ateliê Subterrânea)に出展するとともに、TV Futuraのテレビ番組で、マルコス・シャヴェス(Marcos Chaves)、フランツ・マナータ(Franz Manata)、アンナ・ベラ・ジェイジェル(Anna Bella Geiger)といったアーティストたちと共に取り上げられた。2010年には、『Kxa Preta』(リオ、Espaço Apis)と『Abotoados pela Manga』(サンパウロ)への出展に加え、自作の『Paisagens Vermelhas』がロンドンで開かれたブラジル・アートビデオ展にも出展された。
2011年にはAtelier Hermès(サンパウロ)で個展を開催。Casa Triânguloギャラリー(サンパウロ)での『Como o Tempo Passa Quando a Gente se Diverte』、第43回ピラシカバ全国展(43˚ Salão Nacional de Piracicaba)、およびA Gentil Cariocaギャラリーで開かれた『Curta Cinema』にも作品を出展した。2012年には、リオのダウンタウンにあるエリオ・オイチシカ・センター(Hélio Oiticica Center)で開かれた『Gramática Urbana』、およびA Gentil Cariocaギャラリーで開かれた『Dimensões Variáveis』に出展した。

ARTWORKS

Madness is part of Life(狂気は生の一部)

このタイトルは、政治的公正(PC)と生産時間という、現代生活に共通して見られる状況に関係しています。人間に価値を置くことは、人間主義的特質よりも生産性を重視すること、機械に近づけば近づくほど良いという考え方にまつわるものです。
社会の一部をなす狂気は、管理しなければならないもの、薬剤によって隠さなければならないものとされてきました。まるで、そうするのが正しい考えであるかのように。しかし、誰にとって正しいことなのでしょうか。世界は情熱に満ちています。私たちの内面や周囲に息づいているのはささやかな狂気です……私たちにはそれが必要なのです!

A vida é um corpo do qual fazemos parte, 2012
われわれは生という体の一部

ポリプロピレン及びポリエステルのひも、プラスチックボール
780 x 786 x 1486 cm

drawing: courtesy of the Artist
photos: ©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo

このタイトルを通して異議を申し立てたい対象は、人間を宇宙や多元宇宙等々の中心に据える人間観です。精神を、自然を超えた超自然的なものとして肉体から切り離す考え方、文化が自然から脱したもの、自然の一部ではないもののように捉える考え方です。生は人間よりも大きく、人間は生の一部に過ぎません。もし神が存在するならば、神こそが自然であり、人間はその特別の小さな一部、ただし、あくまで一部に過ぎません。
これは連作『Balanço(ブランコ)』に属する彫刻です。膜(スキン)と細い通路(キャットウォーク)で構成されています。この通路は宙吊りになっており、人はその上を歩いたり、そこに座ったり、寝転んだりできます。LIBWPO (Life Is a Body We Are Part Of)の場合、その作品は、上方の精子を表す通路部分と卵子を表す居住空間という2つの要素で構成されています。これは体験型彫刻です。人をガラスの建物の近くまで引き上げて眩暈を感じさせる、あるいは少なくとも「空中」に浮遊している感覚を味わわせるという狙いもあります。これは、安定感を扱った作品です。私たちがどのように動き、欲しがり、恐れるか。この作品を通じて生み出そうとしているのは、体をなしている場、あるいは動物的な場であり、同時に私たち自身にとっての風景です。ドアは、この2つの領域を繋ぐ門、ないしは両者の連続性をなします。この作品における壁の膜(スキン)は、相互接続された、螺旋状のかぎ針編みの「細胞」から成ります。本体の通路は「魚卵の細胞」、すなわちプラスチック・ボールがいっぱい詰まったチューブでできています。

TorusMacroCopula, 2012
トルスマクロボールト

ポリプロピレン及びポリエステルのひも、プラスチックボール
780 x 120 x 120 cm

photos: ©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo

これは、『Copula Invertida』という1989年の作品の大規模の再現で、『Prumo(下げ振り)』と『Peso(おもり)』という他の2つの作品を組み合わせたものです。当時、私は、ポスト具体主義/建設的提案を離れ、生物具体主義的(bio-concrete)プロジェクトへと移行中で、そのなかで、肉(生身)を感じることのできるいくつかの作品を実現する方法を見つけていました。ストッキングの膜(スキン)と鉛の玉をコンテンツとして。子宮や魚卵のように見えるものや、受精、種子といったアイデアを編み出す方法を、どうにかして探っていました。『TorusMacroCopula』は、たくさんの穴と、より大きなボールの「卵」で満たされた皮膚(スキン)の、空間の位相的逆転を伴った巨視的ビジョンです。

Linhas, Pontos e Patas, 2012
線、点と脚

ポリプロピレン及びポリエステルのひも、プラスチックボール
780 x 120 x 120 cm

photos: ©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo

Pedras I, II, 2012
石群 I, II

ポリプロピレン及びポリエステルのひも、プラスチックボール
I 45 x 240 x 90 cm
II 45 x 335 x 75 cm

photos: ©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo

Guest Artist

エヴァンドロ・マシャード(Evandro Machado)

Ferrolho

アニメーション
2’36’’

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
photos: courtesy of the Artist

『Ferrolho』は、目それ自体が比喩的表現さながら、金属の固体に変わった状態を描くために制作したビデオです。
脆弱なるものについての感覚が変化をきたします。見る者の目、あるいは風景までも?
鉄のボール(目玉)がビルを壊し、都市構造の上方に浮かぶとき、こうした事物の性格との齟齬が生まれます。
同時に、ボールの内部にはアーティストの脳内のミクロの風景のように、内なる世界が息づいています。

MOVIES

Making of "Madness is part of Life" (long 6'00")
video: WEDOVIDEO
Making of "Madness is part of Life" (short 1'47")
video: WEDOVIDEO
Artist's Interview (50'23")
©Espace Louis Vuitton Tokyo

EVENT

Live Performance / Seigen Ono

PHOTO GALLERY

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