Gilbert & George, Class War, Militant, Gateway, 1986 (detail).
© Gilbert & George. Courtesy of the artists.
このたびエスパス ルイ・ヴィトン東京は、ギルバート & ジョージによるアイコニックな大型の3連作《Class War, Militant, Gateway (階級闘争、闘争家、入り口) 》(1986年)を日本で初めて展示いたします。本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから選りすぐった所蔵品を世界中のより幅広い多くの人々に紹介し続けるフォンダシオンのミッションを、「Hors-les-murs (壁を越えて)」プログラムの枠組の中で実現するものです。当プログラムは東京のほか、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンでも継続的に展開されています。
ギルバート・プロッシュ(1943年、イタリア・サン・マルティーノ・イン・バディーア生まれ)とジョージ・パスモア (1942年、英国・プリマス生まれ)は、1967年にロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アートで出逢いました。ほどなく彼らは、2人組「ギルバート & ジョージ」を結成することを決め、早くも1969年には、最初期の公開パフォーマンスの1つ《Singing Sculpture (歌う彫刻)》を実演。この作品では、ブロンズ粉を顔に塗った2人がテーブルの上に立ち、カナダ人映画監督レッド・デイヴィスによる1937年の映画『Underneath the Arches(アーチの下で)』の中でバド・フラナガン & チェズニー・アレンが歌った表題曲を口ずさみました。「生きた彫刻」というコンセプトを取入れたこのパフォーマンスは、アートと、生きることの間のあらゆる区別をなくすという20世紀アートの野心的な試みの1つに取組み、それを彼ら自身のものとしました。型通りのスーツとネクタイ姿のギルバート & ジョージは、キャラクターを文字通り体現しており、どんな状況でも無表情を崩さず、ギャラリーや美術館で彫刻のようにポーズをとりました。
1971年、2人は、「万人のための芸術」の推進を目指して写真を用いはじめ、メディアによって形成され広められてきた英国や諸外国の大衆文化の寄せ集めを再生利用しました。タブロイド紙の表紙を賑わす宗教、セクシュアリティ、死、暴力が彼らの作品の主要テーマとなり、2人組としてのキャリアの開始時に居を定めたロンドンのイーストエンドにある労働階級居住地区での暮らしから着想を得ました。ギルバート & ジョージは、普遍的な内容を持つ新種のヒューマニズムを編み出したとはいえ、その明確な解釈を押し付けることは拒否しました。
彼らの著名なフォトモンタージュは、細かなルールに従って厳密に構成されています。最初は白黒、その後はカラー化され、彼らの格子状の構成はしばしば、ステンドグラスになぞらえられてきました。2004年に開始したコンピューターグラフィックスの使用によって、ますます洗練された寓話的な作品を制作できるようになります。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションには、最新シリーズからの作品も加わり、1971年から2019年までのギルバート & ジョージの相当数の作品群が含まれています。現代叙事詩のマニフェストである《Class War, Militant, Gateway (階級闘争、闘争家、入り口)》(1986年)は、彼ら初の大作でした。この作品は、共同体への所属から、個人的良心や自己肯定の出現まで、個人の冒険を描いています。彼らのほとんどの作品の場合と同様、イメージは黒枠の格子状に配置され、赤、白、青が主体のフリーズ (帯状装飾)を呈しています。ギルバート & ジョージは、垂直的な「抑圧のピラミッド」を、もはや階級によって分けられていないように見える社会の水平性に置き換えています。この民主的な調和は、ここでは、前景にいるすべての人物が穿いている、簡素な長ズボンや短パンといった青い仕事着を通して表されています。
日本においてギルバート & ジョージの作品が展示されるのは2009年以来のこととなり、エスパス ルイ・ヴィトン東京にとっても、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションから選ればれたこの傑作を日本で紹介できる貴重な機会となっております。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンについて
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。カナダ系アメリカ人の建築家フランク・ゲーリーが手掛けた建物は、既に21世紀を象徴する建築物として価値を認められており、芸術の発展に目を向けたフォンダシオンの独創的な取組みを体現しています。2014年10月の開館以来、600万人を超える来館者をフランス、そして世界各地から迎えてきました。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、本機関にて実施される企画のみならず、他の財団や美術館を含む、民間および公共の施設や機関との連携においても、国際的な取組みを積極的に展開していくことを掲げてきました。とりわけモスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館(2016年の「Icons of Modern Art: The Shchukin Collection」展、2021年の「The Morozov Collection」展)やニューヨーク近代美術館(「Being Modern: MoMA in Paris」展)、ロンドンのコートールド・ギャラリー(「The Courtauld Collection. A Vision for Impressionism」展)などが挙げられます。また、フォンダシオンは、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪に設けられたエスパス ルイ・ヴィトンにて開催される所蔵コレクションの展示を目的とした「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムのアーティスティック・ディレクションを担っています。これらのスペースで開催される展覧会は無料で公開され、関連するさまざまな文化的コミュニケーションを通じてその活動をご紹介しています。