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PAST EXHIBITIONS

GEOMETRY OF LIGHT BY ALYSON SHOTZ

SEPTEMBER 10TH - DECEMBER 25TH 2011

Copyright © Hideki Inaba, 2011

エスパス ルイ・ヴィトン東京は、その第2回目となるエキシビションにおいて、アメリカ人作家アリソン・ショッツを迎えます。2010年のルイ・ヴィトン神戸メゾンのオープニング時に、「A Curve in Space and Time」が導入されましたが、ショッツの作品が日本に正式に紹介されるのは、今回が初となります。エスパス ルイ・ヴィトン東京は、本展示により、より多くの方々に彼女の作品をご覧いただけることを光栄に思います。

エスパス ルイ・ヴィトン東京を訪れたアリソン・ショッツは、このアートスペースの溢れんばかりの自然光に感銘を受けました。エスパスの来場者に向けて本質的に目新しいものを提示したいという願望のもと、自身の経験に応えるかたちで、制作されたのが、本エキシビション『GEOMETRY OF LIGHT』です。「時間の中で静止した光を見るとどんなふうに見えるでしょうか」という言葉は、アリソン・ショッツの出発点を象徴しています。

長きにわたる光の実験と、日本に寄せる深い情熱、空間に対する独特の感受性を力強く融合させた『GEOMETRY OF LIGHT』は、東京の天空光のユニークさをよりよく理解する類稀な機会をもたらします。このインスタレーションは実際、エスパスの来場者に、自然環境に関する最近の研究の精髄を提示します。センチメンタリズムを排したショッツの作品は、現代的な材料と媒体を受け入れながら、自然のプロセスに対する感覚と省察の境界面で成立しています。

この詩的、かつ官能的ですらある体験を演出するため、アリソン・ショッツのギャラリーであるデレック・エラー・ギャラリー(ニューヨーク市)とエスパス ルイ・ヴィトン東京のサポートのもと、このエキシビション向けに5点の新しい作品が着想されました。エスパス ルイ・ヴィトン東京は、本プロジェクトに対するアリソン・ショッツの全面的かつ持続的な献身ぶりに心より感謝いたします。

ARTIST

photo: William Lytch

プロフィール

アリソン・ショッツ
ニューヨーク市ブルックリン在住。

アリソン・ショッツは、あらゆる素材を幅広く扱い、それらの境界線を曖昧にすることで知られる彫刻家です。ここ10年間パブリックスペースおよびプライベートスペース向けの彫刻およびインスタレーションを制作し、様々な素材をとおして、新しい、予想外かつ往々にして目を見張る視覚効果を生み出してきました。2007年にグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)で展示されたショッツの『Shape of Space』の浮遊する反射は、一見固体と見まがう外観をしていますが、実際には、薄いプラスチック板とステープルでできた、きわめて軽量のしなやかな彫刻でした。

物理学に関心のあるアリソン・ショッツは、物質界の基本要素である重力や空間や光といった目に見えない力を視覚化するために工業的な材料、鏡やステンレスを用います。こうした材料は、美術の観点からも、決して見逃せないものであることが証明されました。ショッツは、「宇宙が何でできているか(空間とは何か、物質とは何か)という疑問は、彫刻やアートが何であるかということの基本であるように思えるのです」と述べています。

近年のエキシビション

最近では、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館での『Contemplating the Void』、サンフランシスコ近代美術館での『The More Things Change』および『New Work』、ワシントンDCのハーシュホーン博物館と彫刻の庭での『Currents: Recent Acquisitions』、ニューヨークのグッゲンハイム美術館での『The Shapes of Space』といったエキシビションに作品出展。また彼女の個展は、オハイオ州コロンバスのウェクスナー芸術センター、コネティカット州リッジフィールドのオールドリッチ現代美術館、ニューヨーク州サラトガのタン・ティーチング・ミュージアム、ウィスコンシン州マディソンのマディソン現代美術館にて開催されました。

そして2010年度ポロック・クラズナー賞、2007年度サン・ゴーダン記念フェローシップを授与されるとともに、イェール大学アート・ギャラリーの2005-2006年度ハッピー&ボブ・ドラン・アーティスト・イン・レジデンスを務めました。

彼女の作品は、ホイットニー美術館、ロサンゼルス郡美術館(LACMA)、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭、サンフランシスコ近代美術館、ジョージア州アトランタのハイ美術館、ニューヨークのグッゲンハイム美術館といった多数のパブリック・コレクションにも収蔵されています。

アーティスト関連リンク

DEREK ELLER GALLERY

ARTWORKS

フレンネルレンズ、銀メッキグラスビーズ、ステンレスワイヤー

600 x 359 x 157 inches / 1523 x 912 x 400 cm

work with support of Espace Louis Vuitton Tokyo

©Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton

Geometry of Light, 2011

『Geometry of Light』は、4点の立体作品、1点のプリント作品、アニメーションから構成される本エキシビションのタイトルであると同時に、このエキシビションのメインとなる作品のタイトルでもあります。主に光の構造とその二面性についての作品です。光は粒子として、そして同時に、波動として存在します。私たちは日々の生活の中で、光をほぼ見えない物質として認識していますが、もし、時間が止まり、実際に光を見ることができるとしたら、私たちの目にはどう映るのでしょうか? 遥か彼方からこちらに向かってくる光はどのように見えるのでしょうか? ガラスコードに沿って間隔を置いて並べられたレンズには、光は静止したように見え、集中・増幅しているように映ります。私たちの空間体験は、私たちの光に対する知覚と、私たち自身の動きによってフィルターがかけられているため、『Geometry of Light』は、空間と認識についての作品と言えるでしょう。

ガラス張りの空間であるエスパス ルイ・ヴィトン東京を取り囲む東京の風景は、反復するパターンとして集束され、映し出されますが、その様子は、レンズひとつひとつにより、微妙に変化して見えます。その風景と焦点は、見る人が作品との空間で動くことで変化します。『Geometry of Light』は、鑑賞する時間が、朝か、午後か、または、夕方かによってまったく違った風貌を見せます。これは、レンズを通じ、光が角度の違いや色温度の違いによって屈折することで、様々な種類の光、遷り変わる天候が、作品をドラマティックに変化させるためです。

『Geometry of Light』は、ショッツのその他の大規模な立体作品と同様に、見る人を包み込むような雰囲気を醸しだすでしょう。そこには反復と、多量の形態があり、見る人が動き回るのに十分な環境を生み出しています。多量の反復があるのと同時に、そこには多くの不規則な要素も含まれています。ひとつひとつのレンズは手でカットされたもので、全て異なるため、見る人の目には、作品全体が人間味のあるものとして映るのです。

#1

#2

 

#1 Transitional Object (figure #1), 2010
二色性アクリル(レーザーカット)
63 x 45 x 31 inches / 160 x 114 x 79 cm

#2 Transitional Object (figure #2), 2011
二色性アクリル(レーザーカット)
63 x 45 x 34 inches / 160 x 114 x 86cm

work with support of Espace Louis Vuitton Tokyo
©Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton

Transitional Object (figure #1 & #2)

この作品名は、作品がドローイングと立体作品の中間に位置するというアイディアに基づくものです。作品はそのどちらでもありながら、また、同時にどちらでもないのです。3Dの仮想的なドローイングで始まり、それを直接、立体作品に置きかえています。確固たる形状としてではなく、文字通り3Dバージョンのドローイングとして生成されています。

『Transitional Object』は、使用されている素材の性質によって知覚の内外を非物質化させる作品です。作品自体の物質性を断続的な透明性と色と光のはたらきを通して覆します。見る人が作品の周りを歩くにつれて、作品自体が変化しているように見えるのです。

二色性アクリル、アルミニウム

85 x 12 x 12 inches / 216 x 31 x 31 cm

courtesy of the artist

©Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton

Diffraction Spiral, 2010

この作品は、回転とバリエーションにおける反復的な形状の使用について探求した長期的なシリーズの中の一点で、銀河や、ヒマワリ、貝殻の形など、自然界のいたるところに存在する、「中心点を軸にした回転」をベースとした数学的構造になっています。その形状は、全体を構成する各パーツの物理的な回転、および各ピースの大きさの段階的な増幅によって生み出され、そのフォルムは、波の側面をも連想させます。

作品の表面が光を回折し、見る角度によっては、異なる色覚を生み出すため、見る人は歩き回り、様々な時間帯にあらゆるアングルから作品を体験することができます。

溶剤系ジェットプリント、3M™ コントロールタック™フィルム

315 x 252 inches/ 800 x 641 cm

work with support of Espace Louis Vuitton Tokyo

©Alyson Shotz, 2011

Coalescent, 2011

ショッツは、写真や彫刻を素材として用いて、コンピューター上で仮想構造をつくり出します。このイメージは、様々な物質の合体にまつわるもので、有機物と無機物が一体化し、大きな頭蓋骨のような形が生み出されます。繭がほぐれたような状態にくるまった網状の幾何学的形状から花々が咲き、そこにはマクロな視点とミクロな視点が併存しています。

視覚とイメージの密度に混乱を生じさせることで、見る人が、目を凝らし繰り返し見ずにはいられない気持ちにさせます。イメージのスケールも意図的に変化させます。したがって、見る人は、自分が果たして大きいものの写真を見ているのか、小さいものの写真を見ているのか、あるいは現実にあるものの写真を見ているのか、架空のものの写真を見ているのか、分からないままそこに残されるのです。

アニメーション作品

2’ 45’’

アリソン・ショッツ、トッド・アキタ共同制作

work with support of Espace Louis Vuitton Tokyo

©Alyson Shotz/Todd Akita, 2011

Fluid State, 2011

夜が明け、私たちの目には、光を反射するいくつもの鋼球で構成された荒れ狂う大海原が映し出されます。そして、しばらく時間がたつと、2つの島影が海から浮かび上がります。そこから銀色に輝くラインの水柱が、鋼球の蒸気と透明な水滴とともに、上方へとたなびきます。この奇妙で美しいフォーメーションから、命が花や植物の姿として育っていく様子が表現されます。太陽が沈むと、このサイクルが再び繰り返されます。

アニメーションは、夜明けから夕暮れまで、丸一日をかけて展開されます。これは、物質と生命の創出というアイディアにまつわる作品です。

MOVIES

Alyson Shotz's Interview (short 1'30")
video: Shruti Rya Ganguly
Alyson Shotz's Interview (long 10'0")
video: Shruti Rya Ganguly
Making of "Geometry of Light" (2'45")
video: WEDOVIDEO
music: Davy Bergier

EVENT

Conversation / Alyson Shotz and Nat Trotman

PHOTO GALLERY

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