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CURRENT EXHIBITION

Gerhard Richter - Abstrakt. SELECTED WORK FROM THE COLLECTION

November 19, 2021 – May 5, 2022

Gerhard Richter, Möhre (detail), 1984. © Gerhard Richter. Photo credits: © Primae / Louis Bourjac

エスパス ルイ・ヴィトン大阪では、第2回目の展覧会として、ドイツ人アーティスト、ゲルハルト・リヒターをご紹介する「Abstrakt」展を開催します。世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンで展開される「Hors-les-murs (壁を越えて)」プログラムの一環として企画された本展では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品から選び抜かれた作品を展示。東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、そして大阪の各エスパスでは、フォンダシオンのミッションを実現し、国際的なプロジェクトを通じてより多くの人々に所蔵作品に触れる機会を提供することを目指しています。

ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターは、旧ドイツ民主共和国の一部であるドレスデン近郊のノイシュタットに誕生。第2次世界大戦中はライヒェナウ(現ポーランドのボガティニア)で育ち、その後、チェコとの国境近くにあるヴァルタースドルフに移り住みました。劇場画家として働いた後、1951年にドレスデン(ドイツ)の美術大学(Hochschule für Bildende Künste)に通いはじめ、文化統制が敷かれた当時の極めてアカデミックな教育を受けました。壁画を専攻し(当時、数件の注文を受ける)、1956年に学業を終えた5年後、東ドイツを逃れてデュッセルドルフへ向かいました。デュッセルドルフ美術アカデミーで抽象画家カール・オットー・ゲッツの下で学びながら、ジグマー・ポルケとコンラート・リュークと親交を結び、共に1963年に廃店舗で初の展覧会を開催。さらに2回目の展覧会「Living with Pop: A Demonstration for Capitalist Realism(ポップと共に生きる──資本主義リアリズムのデモンストレーション)」を手掛けました。

リヒターは、1960年代初めに、初期の展覧会で主張した「資本主義リアリズム」の精神に則って、絵画と芸術の目的を問い質すために、写真を用いるようになります。第2次世界大戦の経験は彼にとって消えない印象を残し、写真は、政治と歴史が個人的領域に直接的影響を及ぼす主題に向き合うために必要な距離感をもたらしてくれるように思えました。キャリア全体を通じて、新聞・雑誌の写真、および愛する者の写真や家族写真を含む、自身で撮った写真を描き写しています。また並行して、カラフルなグリッドや、アクションペインティング、モノクロームを組み合わせた抽象形式を編み出してきました。
リヒターの最初の抽象作品は1960年代中頃に遡りますが、今日にいたるまで抽象作品と具象作品を交互に制作し続けています。1971年まで、リヒターによる色の使用は稀か、もしくは控えめでしたが、1979年以降、色使いは惜しみなく、人目を引くものとなり、1980年代全体を通じてより鮮明になった快楽原理に明らかに主導されるようになりました。さまざまな道具(あらゆるサイズの絵筆、パレットナイフ、ブラシ)を用いて多彩なテクスチャーも生み出してきました。これは豊かさの第一印象をもたらす一方、各作品に厳格な構造を見出すのに長い時間は要しません。例えば《Möhre(ニンジン)》(1984年)では、作品は灰色で強調された鮮やかな黄色の線で表現された軸を中心に展開されます。それを囲む3つの色彩ゾーン(灰色、赤、黄)は、それぞれが独特のテクスチャーを備えています。
リヒターは、自身の初期のキャリア、並びに──皮肉な距離感をとりつつも──絵画史、ロマンティックで崇高なテーマ、幾何学的でリリカルな抽象を意欲的に見直します。リヒターが大切にする具象と抽象の共存は、並列的なアプローチというよりむしろ、ミザナビーム(紋中紋、入れ子構造)として立ち現れます。引っ掻いた表面や、透明な層を通して垣間見える写真要素を通じて素材の深みが広がる一方、雰囲気や自然の要素、ファーストネームを暗示する題名を通じて、精神的な深みが具現化されます。単純化や概念化とはかけ離れた、この一生をかけた探求は、消し去ることとヴェールを剥ぐことの間で逡巡の極みに達します。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、エスパス ルイ・ヴィトン大阪のために、コレクションからリヒターの18点の抽象作品を特に選び出し、30年以上にわたる創作活動を辿り直します。そのうちの2作品、《940-4 Abstraktes Bild(アブストラクト・ペインティング)》と《941-7 Abstraktes Bild(アブストラクト・ペインティング)》(2015年)は、今回が初公開となります。フォンダシオンの継続的な「壁を越えて(Hors-les-Murs)」プログラムの一環である本展は、現代屈指の多作かつアイコニックな画家へ捧げるオマージュです。

フォンダシオン ルイ・ヴィトンについて
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。カナダ系アメリカ人の建築家フランク・ゲーリーが手掛けた建物は、既に21世紀を象徴する建築物として価値を認められており、芸術の発展に目を向けたフォンダシオンの独創的な取組みを体現しています。2014年10月の開館以来、600万人を超える来館者をフランス、そして世界各地から迎えてきました。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、本機関にて実施される企画のみならず、他の財団や美術館を含む、民間および公共の施設や機関との連携においても、国際的な取組みを積極的に展開していくことを掲げてきました。とりわけモスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館(2016年の「Icons of Modern Art: The Shchukin Collection」展、2021年の「The Morozov Collection」展)やニューヨーク近代美術館(「Being Modern: MoMA in Paris」展)、ロンドンのコートールド美術研究所(「The Courtauld Collection. A Vision for Impressionism」展)などが挙げられます。また、フォンダシオンは、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪に設けられたエスパス ルイ・ヴィトンにて開催される所蔵コレクションの展示を目的とした「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムのアーティスティック・ディレクションを担っています。これらのスペースで開催される展覧会は無料で公開され、関連するさまざまな文化的コミュニケーションを通じてその活動をご紹介しています。

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