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PAST EXHIBITIONS

Urban Narratives

January 26th - May 6th 2013

Copyright © Hideki Inaba, 2013

エスパス ルイ・ヴィトン東京
“Urban Narratives ―ある都市の物語―”

エスパス ルイ・ヴィトン東京の第6回エキシビションは、西方へと向かい、インドの現代アートシーンを探究します。美術史家であり美術評論家でもあるナナク・ガングリー(Nanak Ganguly)が、コルカタ(インド・西ベンガル州)で活動する新進気鋭のインド人アーティスト4名を選びました。この地域は、現代ビジュアルアーツ界の発展に多大な貢献をしてきたとガングリーは考えます。

11作品のうち、8作品が今回新たに制作され、インドを拠点とするインド人自らの視点でインドの現状を描く―というアイデアから生まれた本エキシビション。空間と時間が交差し、差異とアイデンティティを持つ複雑な形態が生まれる変遷の中にあるインドをも鋭く捉えています。

ここで見られるアーティストたちの作品は、インドの伝統的アートに西洋的な要素も多く取り入れ、現代シーンの多様性を色濃く反映しています。アディプ・ダッタ(Adip Dutta)、スネハシシュ・マイティ(Snehasish Maity)、セカール・ロイ(Sekhar Roy)、ピヤリ・サドゥカーン(Piyali Sadhukhan)は皆、中世の書や偶像から植民地時代の遺産に至るまで、インドの文化的な歴史に深く影響を受けています。

セカール・ロイの『Skyline(スカイライン)』は、インド特有の空間を再発見させてくれ、アディプ・ダッタの考古学への関心は、イメージと言葉、主張と理解の間のギャップを再構築させてくれます。ピヤリ・サドゥカーンの作品は、亜大陸の歴史だけではなく、その世界におけるジェンダーの役割も考察。スネハシシュ・マイティは都市の体験に焦点を当て、人間の体験の普遍性について考え直すきっかけを与えてくれます。

エスパス ルイ・ヴィトン東京は、この刺激的で斬新な発見をもたらしてくれたナナック・ガングリーとアーティストのアディプ・ドゥッタ、スネハシシュ・マイティ、セカール・ロイ、ピヤリ・サドゥカーン、さらにエキシビションの準備にあたり多大なご協力とご支援をいただいた在日インド大使館へ、心から感謝の意を表します。

ARTISTS

©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

アディプ・ダッタ

1970年生まれ。コルカタのラビンドラ・バラティ大学で(Rabindra Bharati University)で視覚芸術修士号(MVA)を取得。現在は同大学の視覚美術学科の教員。これまでに、アート・ドバイ(Art Dubai)での『In pain I redeem love』(2012年)、コルカタのエクスペリメンター(Experimenter)での『I have a face but a Face of what I am not』(2012年)、ロンドンのアイコン・ギャラリー(Aicon Gallery)での『MAN/NAM』(2010年)を含む、5回の個展を開催。加えて、コルカタのハリントンストリート・アートセンター(The Harrington Street Arts Centre)での『Writing Visuals』や、コルカタのエクスペリメンター・アートギャラリー(Experimenter Art Gallery)での『Tell Tale; Fiction Falsehood & Fact』、ロンドンのアイコン・ギャラリー(Aicon Gallery)での『New Wave: Contemporary Indian Art』(2007年)など数多くのグループ展にも出展。彼の作品は、多くの個人・法人コレクションに収蔵されている。

©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

スネハシシュ・マイティ

1971年生まれ。バローダのマハラジャ・サヤジラオ大学(M.S. University of Baroda)で美術学修士号を取得後、インド政府よりジュニア・リサーチ・フェローの地位を与えられ、1999年にはカナダよりエリザベス・グリーンシールズ基金賞を受賞。これまでに3回の個展を開催したほか、『第40回・第41回ナショナル・エキシビション』(インド)、『大阪プリント・ビエンナーレ(Osaka Print Biennale)』(日本)、『インターナショナル・プリント・エキシビション(International Print Exhibition)』(合衆国ポートランド)、『シンガポール芸術祭(Singapore Art Fair)』や、ロンドンのネルーセンター(Nehru Centre)で開催された『現代インド美術展(Contemporary Indian Art Show)』をはじめとする国内外の多くのグループ展に出展。彼の作品は、インド国立近代美術館やポートランド美術館をはじめ、多くの個人・法人コレクションに収蔵されている。

©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

セカール・ロイ

1957年生まれ。コルカタ芸術工芸大学(Govt. College of art & craft)を卒業後、2000年にはインド政府よりシニア・フェローの地位を与えられる。コルカタのギャラリー88(Gallery 88)、ニューデリーのギャラリー・エスパス(Gallery Espace)、ドイツのゾーリンゲンのギャラリー(Kunst im Kotten)をはじめとする多数のアートギャラリーで個展を開催しているほか、ドバイのバガス・アートギャラリー(Bagas Art Gallery)(2007年)や、合衆国ヒューストンのNABC(2006年)、シンガポールのArt Two(1998)などでも2人展を開催。このほかにも、コルカタのエマミ・チセル(Emami Chisel)で開催されたサバ・グルライズ博士(Dr. Saba Gulraiz)による『視覚的冒険(Visual Venture)』や、スウェーデンのスカンジナヴィアン・ギャラリー(Scandinavian Gallery)で開催された『現代インド芸術を見に行こう(Go see Contemporary Indian Art)』など、インド国内外の多数のグループ展に参加。彼の作品は、国立近代美術館や、多くの個人・法人コレクションに収蔵されている。

©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

ピヤリ・サドゥカーン

1979年生まれ。2006年にヴィシュヴァ・バラティ大学のカラ・ババン(Kala Bhaban、美術学部)で美術学博士号(MFA)を取得後、2007年にはインド政府よりジュニア・リサーチ・フェローの地位を与えられる。「コージ・コルカタ(Khoj Kolkata)」が2012年に開催したワークショップをベースとしたインスタレーションプロジェクト、『デルタのデザイン:神話創造の探索(Designs on delta' exploring the making of myths)』や、2010年に開催されたインスタレーションプロジェクト『Boat』、エマミ・チセル(Emami Chisel)主催の『Logged』をはじめとする多くのプロジェクトに参加しているほか、数多くのグループ展にも出展。また、ArtETC上で『人間性の偵察(Surveillance on Humanity)』と題したアナリティカル・エッセイを発表した。

ARTWORKS

ADIP DUTTA

無題, 2011

ファイバーガラス
152.4 x 111.8 x 106.7 cm

courtesy of the Artist and Experimenter
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

「主にオブジェ制作者としての私の創作活動は、ごく普通の物が形作る3次元の立体に対する興味から生じています。私たちの日常生活は数多くのありふれた物体で構成されていますが、そうした物体はたいてい1つの機能しか持たず、平凡な使い方をされるだけです。私は、そのような物体の美的な魅力を認識するという、まるで強迫観念にとらわれたかのような行為によって“平凡”という概念の境界を激しく探索し、それを考古学、建築技術、絵画、あるいは芸術史などのより高度な学術分野へと高めるための絶え間なく続く試みへと導かれるのです。今回出展されたタイトルのない彫刻作品(ヘアクリップ)は、まるで遺跡発掘現場で発見された物体のように、死骸として現れます。それにも関わらず、雪のように白く、1点のシミもないこの作品の存在は、発掘現場で発掘される化石を単に模倣するという行為を疑いのない明らかなものにします。そこから観客は、このオブジェに先行した「物を解読する」という行為へと誘われるのです。この彫刻作品と関わり合うことで、観客はまずそもそもの彫刻プロセスの出発点となった、実際に存在する小さくて女性らしいヘアクリップへと導かれます。アーティストであり、アートライターでもあるパウラ・セングプタ博士は、この作品について「このオブジェは最大規模まで拡大され、工業的に完璧なレベルに仕上げられ、少し開いた状態であおむけに、いわゆる“unclipped(クリップが外された)”状態で、まったく関連性のない場所に置かれています。こうすることにより、オブジェは新たなオブジェとして、疑似的な化石、というよりはむしろ芸術作品としての存在、尊厳、そして地位を手に入れるのです」と述べています。」

無題, 2012

ステンレススチールのメッシュ、スチールワイヤー、ファイバーガラス
116.8 x 48.3 x 25.4 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
sketch: courtesy of the Artist
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

無題, 2012-13

インク、ブラシ、紙
140 x 144 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

SNEHASISH MAITY

アンナ-無言の声, 2012

古新聞、合成のり、アクリルペイント、サーモコール、鉄、ファウンド・オブジェクト
182.9 x 198.1 x 30.5 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

本作品でマイティは、社会に深く浸透するヒエラルキー(階層制度)、その結果生まれる征服支配、規則として定められた考え方がもつドグマ、性別間の不公平、バイオレンス、そしてそこから生まれる混沌としたインド亜大陸の生活、差別から生まれる堕落がぎっしり詰まったスペースに反応し、社会運動家アンナ・ハザレのイメージを見事に表現しています。現代のガンジーと称される同氏は、汚職腐敗を排除するために民衆に結束を呼びかけました。これらのビジュアルテキストは、アーティストたちが内面的に、そして強烈に、ほとんど無差別な自由奔放さをもって、何の制限もなく自由に航海した時代や空間から取り出されたものです。ここにある作品は、彼らが主観と感情の間のバランスを取りながら、サブジェクトやマテリアルを取り扱うにあたり、本能的なレベルの反応を噴出せた結果。例えば、複雑な説明を提供してくれるアートの表現方法です。

マスク – 媒介, 2011

キャンバスに油彩
127 x 157.5 cm

courtesy of the Artist
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

「私の作品では主に、フィギュラティブ(具象的)でシンボリック(象徴的)な表現を取り上げています。時としてそれは私自身ですが、しかしこれらのイメージは最終的には何らの個人的な関連性からも遠ざかり、知的空間という背景の中でのアイデンティティを構築するという行為へと向かいます。根底にある社会政治的問題、貧困、人類の退廃、そして人間の孤立は、どれも普遍的でありながら、同時に非常に個人的に深く根差したパーソナルな問題でもあるのです。他方では、知識はマスメディアが報道する事象の周りに群がり、さまざまな事件が私の作品に影響を及ぼしています。今回の作品『Mask-In Between(マスク-媒介)』は、現代の環境に関する関心事項という背景の中で生まれたもので、ここではアイデアの表現が私の頭から心へと移動しています。」

マスク, 2012

鉄、グラスファイバー、プラスティック製品、合成接着剤、LEDビデオ
182.9 x 121.9 x 121.9 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
project sketch: courtesy of the Artist
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

「物語の純粋性は、私にとって会話の純粋性よりも明白なものであり、独特の不規則なリズムを生み出します。そして、アートの手法の中にそれを刻み込ませようという気持ちの高ぶりの中に、客観的な距離を保っている自分を感じます。また、まるでそれを必要としていたかのように作品を見出し、自分自身のクリエイティブな本能を育むものでもあります。「私たちの共通の苦しみ」の証拠となるドキュメンタリーや写真が、悲しくも曖昧になってしまったずっと後においても―人間の強欲や貪欲のせいで生態的な災害にさらされるという、地球上における私たちの日常的な存在の苦しみ。この『Mask(マスク)』と題したインスタレーションでは、その本質の何かを比喩的に伝えようとしました。つまり、私が日々体験する異様で不穏な静けさです。この地球上の生命を脅かす力、私益と公益の矛盾。生産と消費の循環の激化は、20世紀の不幸な出来事を結果としてもたらし、現存の政治的性質への疑問は、審判を求めて伝統的な体制を破壊しました。ヒューマニズムを必死に追求する私の想いは、純然たる失望のエネルギーによってのみ支えられています。ですが、クリエイティブな表現の中心に、目に見えるかのように存在し続ける少なくともひとつの重大な源泉を認識しないことは決してありません。」

SEKHAR ROY

都市の風景, 2012

キャンバスにアクリル絵具
152.4 x 243.8 cm

courtesy of the Artist
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

スカイライン, 2012

アクリルシート、プリント絵画、アルミニウム
approx. W609.6 x H457.2 x D121.9 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

今回のインスタレーション『Skyline(スカイラン)』、そして自己が権力のメカニズムの投射面として機能する、アクリル絵具を用いた大きなキャンバス作品は、古いものを捨て去り、domestic/indigenous(国内/土着)な空間を再発見するという気高い衝動を蘇生させることを意図しています。ここでは、自己が動力機構の投射面として機能します。8mmのアクリルシート、アルミニウム、そしてプリントされたスペースでかたちづくられ、1つにまとめられたこの荒削りでギザギザとしたフィギュアが実際のオブジェのように取扱われ、着色されたフィールドの上に置かれています。

絵画は、投影面を分割するフラットな建築マーカーを組み合わせただけのものではありません。あるいは、広大な空間に浮かぶ背景幕でもありません。それらは高尚なテキストなのです。ここでは、使用されている光がある種の内面的かつ自然的な精神の不安の啓示の源として維持されています)。

自らを振り返り、センシュアルな曲線の輪郭に沿ってカーブを描き、目に見えない自らの原点まで急いで引き返します。そこでは、それが追跡する敏速で贅沢なビジュアルムーブメントが、感動的な魂の音楽を奏でます。

PIYALI SADHUKHAN

カモフラージュド(アイデアスケッチ), 2012

デジタルプリント(アーカイブペーパー)にアクリル絵の具、インク、カラーピグメント(着色顔料)、ペーパーバタフライ
サイズ可変

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
idea sketch: courtesy of the Artist

多くの歴然とした性的暴力事件とは別に、数えきれないほどの透明な、あるいは半透明な潜在的要素が、私たちの目の前で、日々、一瞬一瞬、容赦なく、そして頑丈に、無言でそのメカニズムを継続しています。自らの作品のために収集、選択したインシデントやアイデアを頭の中で巡らせるたびに、私はむしろ事実や瞬間を記録に残すという方法で、それらの潜在的要素を改善しようと躍起になりはじめます。私は状況や体験からイメージを集め、それらに変更を加えることを試みます。事実をそのまま提示するのではなく、それらと並行する何らかの物語を見つけ、自由になるため、自分自身をカモフラージュし、安全な状態でいられるためのトリックを見つけようとするのです。本作品で私は自己防衛の進行形として、カモフラージュするためのプロセスを表現しようとしています。

むしろ夢を保護している, 2012

ファイバーグラス、布、糸、顔料、コットン、フェルト、紙
172 x 228 x 228 cm( サイズ可変)

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

「女児胎児殺しの発生率は、私たちの社会のあらゆる階層でますます高まりつつあります。犯人は誰なのか、それは私には分かりません。しかし私たちは日々、目に見えない社会体制を前にして、自分たちの意思やニーズを犠牲にしなければなりません。この作品で私が試みていること、それはむしろ自分の感覚を保護することです。ここには8人の女性像の皮膚上に、ある種の増殖物を見ることができます。これらの女性たちは基本的に、臓器またはそれが発育した部分のプラグマティズム(実用主義)を閉じ込めようとしています。そして最終的には、皮膚の断片がナカーブ、すなわちベールという増殖物を形成するのです。これは、社会によって与えられたいわゆる「protection(保護)」というベールです。」

無題, 2012

アニメーション
5’
W190.4 x H436.8 cm

work with the support of
Espace Louis Vuitton Tokyo
screen capture in the Photo Gallery: courtesy of the Artist
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat

「ここ最近の私の創作活動の中で多く見られるように、本作品で私は単にいくつかの相反するイメージを並置し、そうすることにより一目瞭然のデザインを創造し、独自の奇抜さをもったバイオレンスのメタファー(比喩)を表現しています。アニメーションのフレームは時に意図的に、また時には非理性的に連鎖しています。モチーフ同士が互いに矛盾し合い、再構築し合うこともあります。細胞、あるいは泡のようなモチーフが配置されたフレームから始まって爆発のフレームへと続き、脳のモチーフが爆弾となり、最後にはそれが爆発する――絶頂点を通る旅が展開されます。明らかに女性という存在である私自身にとって、この旅はフェミニスト的な意味合いを含むかもしれません。しかし結局のところ私は本作品に、思想の自由を求めるヒューマニティによる、抑圧への抗議の発芽が女性の目を通じて表現されていると思います。」

MOVIES

Making of "Urban Narratives" (long 5'30")
video: WEDOVIDEO
Making of "Urban Narratives" (short 1'50")
video: WEDOVIDEO

PHOTO GALLERY

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